【専門家の先生に聞きました】子どもの心に「タッチ」しよう!子どもの自立を育てるロディ 親と子のコミュニケーションが子どもたちの心を育てるカギ

【専門家の先生に聞きました】子どもの心に「タッチ」しよう!子どもの自立を育てるロディ 親と子のコミュニケーションが子どもたちの心を育てるカギ

2024/04/05

今回は児童への運動体験の提供や、体操・運動指導のスペシャリスト、筑波大学名誉教授 長谷川聖修先生が開催されている親子体操教室『親子タッチ』を取材しました。

長谷川聖修先生

長谷川聖修先生
筑波大学名誉教授
日本Gボール協会理事長

茨城県つくば市で26年続いている「親子タッチ」。
その名前には、子どもと親とが心や身体を直接ふれ合わせるという意味のタッチ、また子どもたち自身が活動を通して独り立ち(自立)していくことを目指そうという意味のタッチ、2つの大きな意味(願い)を込めて活動しています。
独り立ちは親子のふれ合いを通して育まれる絆や信頼感があってこそ。
そんな親子タッチの教室で、ロディを使った親子プログラムを実施しました。


親子タッチにロディがやって来た!

普段の「親子タッチ」では、バランスボールや風船など、子どもたちの興味を惹きそうな手具、また平均台やマットなどの器具を使った運動、そして音楽に合わせて体を動かす体操などをメインに活動しています。
クラスの最初はまずみんなに挨拶をするところから。
「○○さーん」「はーい!」と、まずは先生のところまでやってきて挨拶をします。そしてクルッと向きを変え、みんなの方を向いたら「○○です!よろしくお願いします」と大きな声で挨拶をします。もちろん挨拶するのが難しい子もいますが、まわりの様子を見ながら、少しずつ人前で話すことにも慣れてきて、だんだんと挨拶ができるようになります。
挨拶だけでも、子どもたちにとってはとても大きな自信になりますので、身体を動かすメインプログラムの前に挨拶にじっくり時間をかけることも、クラスで大切にしていることのひとつです。

そして今回はロディを使った特別プログラム。
そこで親子で相談をして、これから一緒に遊ぶロディに好きな名前をつけて、挨拶のときにその名前を子どもたち自身に発表してもらいました。
ある子は「みかんちゃん」、ある子は「みずちゃん」など、好きなキャラクターや好きな色の名前を付けてくれる子もいました。
名前を付けることでロディへの親近感が湧いてきて、わたしのロディ、ぼくのロディ、という気持ちが生まれていたように思います。

親子タッチ


実はクラスが始まる前、早く来た親子にはロディに空気を入れてもらいました。
実際に子どもたちが膨らますというのは時間もかかります。
栓をするタイミングが難しく、親子で一緒になって試行錯誤しながらロディを膨らますという過程(プロセス)を経ることで、さらにロディに愛着を感じることができたと感じています。
またクラスが終わった後にもそれぞれが使ったロディの空気を抜いて、きれいに畳んでお片づけするなど、子どもたちにとってはまるでペットのお世話をするような経験になりました。
膨らむ(空気を入れる)↔縮める(空気を抜く)という一見単純作業のような活動に思えますが、子どもたちは夢中になってお世話を楽しんでくれていました。


親子のつながりが、子どもの心の広がりになる

親子タッチ


クラス内で行うプログラムとしては、ギュッとハグをしたり、親子で協力して何かを達成したりするなど、親子でふれ合うということを何よりも大切にしています。
つまり子どもだけで活動したり、遊んだりするのではなく、できるだけ親子一緒に活動するプログラムが提供できるように心がけています。

親子タッチ

コロナ禍に生まれ、成長している世代の子どもたちは、特に他者とふれ合う機会が足りていないように感じています。
自分たち親子の関係はもちろん、ほかの親子同士が関わっているところを見る、また直接ほかの親子と協力することも大切な関わりになります。
そうした中で自分たち親子の関係や、他の子どもや親子とのつながりも生まれていきます。新しい関係性が自然発生的に創られていく、そんなプログラムになるように心がけています。


「見守る」って難しいけど、とても大切!

親子タッチ


もう1つ教室をしていく中で心がけていることは、どれだけ子どもたちを「見守れる」かです。親は「これはだめでしょ。」「みんなと一緒にして!」「今はそれじゃないでしょ。」など、何でも注意をして、ついつい正しい方向に導こうとしてしまいがちです。
確かに他の子と違うことをしていたらどうしても親は気になってしまうし、集団や大勢で行う中での暗黙のルールももちろんあります。
そこの微妙な線引きが難しいのですが、もし危険がないのであればなるべく見守ることを促しています。

子どもは本能として自分がやりたいことに突っ走っていくのが当たり前なのですが、親や家族はどうしても見守るよりも、まわりに迷惑をかけないようにと注意してしまう場合も多いのではないでしょうか?
子どもは自由でいいのです。その中でも絶対に守らなければならないルールがあれば、子どもと一緒に見つける、それ以外は見守るという立ち位置が大事ですね。
子どもの成長を促しながら、指導しすぎないことを心がけています。


子育ての悩みも共有できる空間に。

親子タッチ


親子教室を通して、親の子育ての悩みも解消していけるのではと考えています。子どもの年齢は同じでも、親としての経験はさまざま。初めて会う他の親との会話やふれ合いが親の心も軽くしてくれます。
子育ての悩みは尽きないのに、それを一人で抱え込んでしまって、誰にも打ち明けられずにストレスを感じてしまうお母さんはとても多いと言われています。
ですから、このような親子教室という空間はとても貴重だと思っています。
同じ年くらいの子どもたちが集まること、その親も集まり、同じ空間で過ごす限られた時間の中で、みんなが一緒に笑顔になれる時間をこれからも作っていきたいと思います。


「運動するって楽しい!」を伝えたい。

親子タッチ


人間はそもそも本能として動くことが喜びとして誕生した生き物です。
それが、いつしか時代が進むにつれてどこかで歪められてしまい、運動は○○のためにしないといけないもの、すると○○に良いといいものとなり、だんだんと義務的なものになっている気がします。
さらにこの先の未来では実際に体を動かさなくてもよい時代になっていき、デジタルやAIの活用で、頭の中、バーチャルの中で様々なことができてしまう時代がすぐそこまで来ています。
だからこそ、これからの時代を生きていく子どもたちには、どんなことでもよいので「運動するって楽しい!」という感覚が味わえるような体験をたくさんしてほしいと願っています。

親子タッチ

ロディで遊ぶ・体を動かすこと=運動になる

ロディには他の玩具にはない特徴があります。
単に遊ぶためのおもちゃ、あるいは単に運動のための用具ということではなく、子どもたちの心を惹きつける魅力がロディにはあります。
子どもたちが感情移入しやすいという特徴ですね。
今回の教室でロディに名前をつけたことも、その特徴があるからこそです。
自分よりも小さい子(ロディ)をつくることによってお世話をしたり、かわいがったりする心が生まれます。
本当は実際の生き物を飼うことができればいいのですが、兄妹のいる子はもちろん、一人っ子の子どもは特にお世話をしたがります。
ロディに名前をつけ、ペットを飼うような感覚でいっしょに活動できたことが今回の教室ではとっても良かったと感じました。
子どもがロディをお世話することからスタートし、少しずつ一緒に体を動かすことを親子ではじめる。
ロディは幼児期の子どもたちが運動をスタートするにはピッタリのアイテムです。
運動をしている気はなくてもロディで遊んでいるだけで運動になっている。ということが最大のポイントです。

親子タッチ


教室が終わる頃にはロディと離れるのがさみしくて涙がでてしまう子どもがいるほど、ロディは愛されている運動用具だと実感しました。
「ロディで遊ぶ・体を動かすこと=運動になる」ということをさらに感じることができた教室になりました。

親子タッチ

【ロディとは】
唯一無二のバランスボールトイ 「RODY」(ロディ)

1984年2月14日、ロディはイタリア北部のオソッポ村にある「レードラプラスティック社」で誕生しました。
馬をモチーフに、バランスボールテクノロジーを応用して作られた乗用タイプのバランスボールトイです。

子どもたちは誰に教えられることもなく、自然とまたがって活発に遊ぶことができます。
ただ可愛いだけでなく遊びながら運動神経やバランス感覚を養うことができ、その姿、形も乗りやすいように研究されています。

一覧に戻る